CryptoArt:NFTのプラットフォーム検討 ファイル保存場所について

※この記事執筆後にchocofactoryという素晴らしいdAppsがリリースされたので、新規でNFT発行する人は是非chocofactoryを使いましょう。

CryptoArtの文脈でNFTが最近急激に話題になりました。
バブルはいつか弾けますが、バブルが弾ければCryptoArtは終わるのではなく、むしろバブル後こそCrypotoArt業界の本番になるでしょう。

最近毎日のようにCryptoArtの話題を話しているので、そろそろ自分も分析を語るだけじゃなくて自分自身でちゃんと発行してみることにしました。
今回は日本語でも記事の多いプラットフォームについて解説しようと思います。


1.opensea
2.Rarible
3.Mintbae
4.SuperRare, Foundation,

尚、この記事はある程度NFTについて予備知識がある人向けに書いています。
NFTってそもそも何?!という人はピプリクトさんの記事がおすすめです。


1.opensea



言わずとしれた世界最大級のNFTマーケットプレイスです。
最近はガス代無料でストアを作る機能もあり、ファイルのサイズ上限も100MBまであるのでとても便利で、とりあえずNFT作ってみたいという人に大変お勧めです。

しかし、本気NFT民からすると以下の難点があります

1.ストレージがオフチェーン
2.コントラクトがすべてopenseaに紐づけられていて作家毎のコントラクトになっていない
3.Raribleで、「My Creation」に反映されない



それでは順番に解説しましょう。

1.ストレージがオフチェーン問題

openseaのメリットの一つは、「1ファイル100MBまで大丈夫」!という太っ腹。
しかし、よく考えてみると、そんなに大量のファイルはどこに保存されているのでしょう?

checkmy NFT.comによると、openseaで製作したファイルの保存先はopenseaのオフチェーンサーバーでした。当然checkmyNFT.comのスコアは危機的なpoor 。IPFSですらないので、openseaが廃業したら当然このサーバー上のデータは消滅する可能性が大です。




2.コントラクトがopenseaに紐づいてる問題


NFTのティッカー自体も独自に作ることはできないので、すべてopenseaのストアフロントコントラクトに紐づく形になります。Etherscanで見てみると、毎分世界中から物凄い勢いで新しいNFTが発行されているのが分かります。




将来的に記録に残るのは「openseaのコントラクトのxxxx番目の作品」という記述だけになるので、将来仮にopenseaが廃業した場合、そのコントラクトが自分自身のものであると証明できるか怪しくなってきます。
自分のETHアドレスで発行してるんだから大丈夫でしょ?と思いたいところなのですが、現在EtherscanがERC1155 にちゃんと対応できていないので、残念ながらNFTのトークンIDを特定する事が現状できません。

例えばこの履歴を見てみると、そもそもcreateの時点でトランザクションが発生しておらず、落札者がガス代を負担した時点で初めてトランザクションが発生するのですが、その際のアセット移動トランザクションにトークンIDが表示されていません。

ERC1155をちゃんと追跡できる エクスプローラーがあるとトークンID問題もクリアーになると思うので、ERC1155 追跡に便利なものを知っている方いらっしゃいましたら是非DM下さい!


一方で、openseaの提供する初期GAS代無料サービスはopenseaのストアフロント用コントラクトに紐づいているからこそできる便利機能なので、一長一短です。
なにせ2021年3月現在ではNFT一枚発行するのに約5000円~10000円ぐらいかかるので、そんな気軽にガス代負担してポンポン発行するのは難しいものがあります。ただ、将来アート作品として本当に残したい作品なら、ガス代払う覚悟でじっくりと作品を作り込んで吟味するのも大事なのかもしれません。








3.Raribleで「My Creation」に発行されない

これが一番、自分がopenseaに対して、んんん?!と思ったところです。
例えば左の写真はMintbaseで発行し、右のGIFはRaribleで発行しました。
ところが、openseaのストアフロントで発行した動画2本はMycreationに表示されていません。




じゃあ、openseaで発行したのはNFTじゃないのか???!
という訳でもないようで、ちゃんとActivityのところでは表示されます。
これは一体どういう事なのでしょう。
詳しい方いらっしゃいましたらDMお願いします!


openseaではERC1155で製作しているのでRarible側が対応していないだけなのかもしれませんが、新人CryptoArtistの購入者の結構な割合がCryptoArtistな現状では、Raribleのソーシャル機能は是非活用したいところです。
現状のopensea storefrontでは相互フォロー機能が全くなくネットワーク機能はTwitterやFBに
頼らないといけないので、せっかく作ったコンテンツがRaribleで表示されないのはちょっと勿体ないかなと思います。



総評:opensea

openseaのNFTは、良くも悪くもopenseaという巨大プラットフォームのパワーに依存する度合いが多いので、世間一般で言われる「NFTならではの永続性」を期待するのはちょっと厳しいかもしれません。
しかしながら、ガス代無料でとりあえずNFTを発行できる手軽さは唯一無二なので、最初の導入にはとてもお勧めです。
ストレージ保存場所問題も将来アップデートされる可能性はあります。
世界のかなりの数のdAppsがopenseaのAPIに依存している現状を考えると、openseaの公認ストアになっておくのは結構大事かもしれません。

2.Rarible







新進気鋭のプラットフォームRaribleは、SNS等で聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。ERC1155 にも対応しているので、一回のガス代で10枚や20枚のナンバリングしたNFTを販売可能なため、ある程度採算がとれやすいのが特徴です。

そんなRaribleは、ちゃんとストレージにIPFSを使用しています。ただ、IPFSも定期的にお金を払い続けないとpinしてくれない仕組みなので、将来Raribleが廃業したときは自分でIPFSにpin留依頼する作業をする必要がでてくるでしょう。







また、トークンティッカーはRaribleにすべて紐づくので将来もしもRaribleが廃業したときに自分のウォレットアドレスと自分の作品を自然言語で証明するのが大変になるのが予想されます。なので、作品をmintするETHアドレスでENSも登録しておいた方がより良いでしょう。

3/7追記 Raribleでもちゃんと高額のガス代を払ったら独自ティッカーをデプロイできました。

ストアを作る時に独自ティッカーとRaribleティッカーを選べますが、どちらも一長一短あります。


Rarbileティッカーの最大の問題点は、発行するコンテンツがすべてRaribleのコントラクトに紐づくことです。
Rarible上だけで見てるとあまり不便さを感じないかもしれませんが、Raribleティッカーの場合外部サイトdappsとの連携に問題が生じます。
例えばopenseaだと、自分の管理するコントラクトアドレスで製作したものを自分のストアにする機能 My Collection があるのですが、Raribleティッカーの場合は皆と同じコントラクトアドレスになっているので、Raribleで発行した自分の作品をopenseaで自分のMy Collectionに追加する事はできません。
今後色んなdappsが増えていく時に自分の作品を載せたいと思っても、コントラクト上は「Raribleにxxxx番目にxxxxさんから登録された作品」として記録されているので、完全に自分の作品として後世に残す時にちょっと気になりますね。
(いや、ほとんどの人は気にならないかも)



※RaribleのコントラクトアドレスはRarbileのMyCollectionとして登録されているので、Raribleで発行したNFTをopenseaで販売してもロイヤリティーは受け取れない。


外部dappsでも自分の独自性を出したい時に独自ティッカーが重要になります。
独自ティッカーで作る場合のやり方は簡単で、アップするときに選択するようになります。






なお、独自ティッカー作るにはガス代が約5万円するので中々にハードです。

※メタマスクでは7万円近く表示されましたが、実際にデプロイすると0.3ETH(だいたい5万円)で済んだので後述するmintbaseとほぼ同額でした。


Raribleで作ってみた独自コントラクト


独自ティッカーの場合、正真正銘、このコントラクトは自分の作品の為だけに発行されたコントラクトなので、自分以外の人の作品がこのコントラクトアドレスに乗ることはありません。

独自トークンティッカーを作れる事の利点は自己満足だけでなく、他のdappsもその作品をオリジナルだとすぐに認めてくれることにあります。
例えば、Rarible 独自ティッカーで作ったNFTはopenseaでMyCollectionとして登録可能で、ロイヤリティの設定も可能です。






したがって、Rarible独自ティッカーでNFTを発行すれば、opensea、raribleの両方で販売可能な上、両方のプラットフォームでロイヤリティの設定が可能です。
一方のデメリットとしては、ストア初期設定にガス代が約5万円ぐらいかかることです。ガス代おそるべし。。。。
Rarible,Mintbaseのどちらも5万円超えをしていることを考えると、現在のガス代相場でETHメインネットに自分の名前を刻むコストの相場がこのぐらいなのでしょう。

尚、毎回ガス代に5万円かかるのではなく、最初にストア登録さえすれば、以後は一回5000円ぐらいになります。(Rarible,Mintbase共通)

一方で、「ETHのメインネットに自分の名前を刻むコストが5万円で済むのは今のうちかもしれない」という見方もあります。
近々EIP1559が導入され数年後にはETH2.0も導入されるので将来的にはGAS代はかなり安くなるとの見方もありますが、その一方で、「ETH2.0になってもETHのガス代はオークション制度のままなので、ETHを使いたい人が増え続けたらガス代は結局高くなる」という説もあります。

このへんは常にいたちごっこを続けているので予測が難しいですが、自分の予想では恐らくETHのガス代は当分高止まりを続けると思います。なので、今後もETHが高くなり続けると予測する人の場合は、ストア開設代が5万円ぐらいで済むうちに作っておく、という考え方もあります。
このへんは、車のナンバープレートをゾロ目にするのに高いお金をかけるかどうかの価値観に似ているのかもしれません。
「2021年の段階から独自コントラクトの価値に気づいていた作家」という事自体に10年後にクリプト史的な価値がつく可能性は勿論ありますが、2021年現在だと売値のほとんどはSNSマーケティングパワーに依存しているので、どの時間軸で作品を評価されたいかによっても選択基準が変わりそうです。




総評:Rarible

・インディペンデント型CryptoArtistにお勧めのサイト。
・クリエイター同士のコミュニティも生まれやすく、初期費用も比較的安く抑えられる。
・ファイル上限が30MBなのでまあまあどうにかなる。
・独自ティッカーも使えるので、最初はRaribleティッカーで始めてフォロワー増やして、売れてきたら独自ティッカーへの移行という使い方もできる。
・openseaと違って作品mint時にガス代かかるので、Raribleティッカーを使った場合でも作品アップする度に5000円ぐらいかかる。(2021年3月7日現在)




3.Mintbase





Mintbaseはベルリン拠点のちょっとマニアックなプラットフォームですが
・自分専用のトークンティッカーしかない
・次世代型IPFSであるArweaveに対応している

という特徴があります。

VJyouトークンコントラクト例

このコントラクトをデプロイするのに0.3ETH(約5万円)かかったので、上記のRaribleとほぼ同じ金額でした。残念ながら、ETHに名前を刻むコストはどこも同じぐらいな値段な模様!




また、mintbaseで作ったNFTはRaribleでもちゃんと表示され、販売可能です。
しかし、現状Raribleでロイヤリティの設定はできないようです。





現在のRaribleのマーケティングパワーを考えると、敢えてMintbaseを使う必要性は低いかもしれません。
なお、Mintbase自体はガス代対策ソリューションとして互換チェーンのNEARへの移行を発表していて、このNEARチェーン版Mintbaseの方が将来需要が出るかもしれません。
昨今CryptoArt界隈で話題になる「CryptoArtistは環境負荷を加速させている問題」への議論の対策の一つとして、POSチェーンを推奨するムーブメントがあります。
しかし、ここには落とし穴も多く、EVM互換チェーンで発行するか独自言語のプラットフォームで発行するか本当に悩ましい問題があります。
NEARの場合、EVM互換なのでETH系チェーンとの互換性を保ちつつNFTを発行できる可能性がありますので、実際に稼働し始めてたら検証してみようと思います。

サイドチェーンでのNFT発行についてはPolygon(旧名Matic)でも色んなdApps開発が進んでいるので、Matic,NEARなど幅広くウォッチしておいた方が良いでしょう。



※とにかくつきつめていくと、自分でIPFSにデータアップして自分で手打ちでコントラクト書いてNFT発行すれば良いという説もありますが、それはもはやエンジニアの領域なのでアーティスト向きではないので省きます。


Mintbase総評
・openseaとRaribleの両方で売れるから販売方法には困らないが、Raribleでロイヤリティ設定できないので、敢えて積極的に選ぶメリットはあまりない。
・ファイル上限16MBなので制限はかなり厳しい
・NEAR版にちょっと期待。



4.SuperRare, Foundation等


CryptoArt界の大御所と言われるSuperRareやFoundationは、仕組みとしてはにていて
・ストレージはIPFS
・コントラクトはプラットフォーマー紐づけ

が定番となっているようです。
むしろ、メジャーどころでIPFSやArweaveを使ってないで完全オフチェーンサーバーなのはopenseaだけかもしれません。

※SuperRareやFoundationで独自ティッカー使ってる例がもしあったらDM下さい!
※soraはjsonファイルが特殊なようで、ストレージがどこにあるか調べきれず。


まとめ


如何でしたでしょうか。
これからNFT系プラットフォームは恐らくかなりの数が増えてきますが
・ストレージが分散化されているか
・スマートコントラクトが作家毎に分かれているか
の点を気にしてみるようにすると、そのプラットフォームごとにNFTへの姿勢が見えてきます。
また、既存のプラットフォームでもストレージ方法が今後改善されたりすることもあるので、自分が作品を登録する時点で都度吟味しましょう。

個人的な感覚としては、NFT全般的にまだまだ試行錯誤の時期なので、今は技術的な細かいところを突き詰めるよりは、CryptoArtをとりあえず作ってみようと思った人同士がつながっていくのが大事な時期だと思っています。なので、とりあえず招待されたプラットフォームに飛び乗るので良いような気がします。

一方で、今話題のSuperrareやFoundationにしても結局コントラクトアドレスはプラットフォーマーに紐づいているので、アーティスト単位ではありません。
今後、よりブロックチェーン的な思想が浸透していった時に、「自分の作品は自分のコントラクトで管理したい」という価値観が主流になるのか、それともプラットフォーマー全盛期になるのか、数年後の答え合わせが楽しみです。

※この記事執筆後にchocofactoryという素晴らしいdAppsがリリースされたので、新規でNFT発行する人は是非chocofactoryを使いましょう。




CryptoArtist同士のネットワーキングもかねて、今後はVportal GalleryというDecentraland やCryptoVoxel上のギャラリーを活用した展示会イベント等も予定しているので、気になった方は気軽にtwitterでDMしてください。
それではまた!

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